コネット動物病院はいろいろな珍しい動物も診ていますが
普通にワンちゃんの歯石取りなんかもしています。
たまにはそんなお話です。
ワンちゃんはむし歯にまずならない代わりに
歯石がつきやすく
歯の根元がやられる「歯周炎」「歯周病」
になりやすいことが
我々人間と大きく違います。
歯周病になると歯がグラグラになり
自然に抜けてしまったりします。
実はワンちゃんは全ての歯がなくても
特に問題なく暮らせてしまうので
それはそんなに重大ではないのですが。。
歯周病の恐ろしいところは骨を破壊するところです。
よくあるのが目の下の皮膚から
膿が出てくる眼窩膿瘍ですが
これならまだ軽い方で
最悪顎が折れたり
顎の構造そのものが広範囲に溶けてしまったりすることがあります。
また口の中の細菌が激増することで
肺炎リスクがあがったり
免疫抑制剤や抗がん剤を使った時に
感染のリスクが上がると考えられます。
歯石が付き
歯肉が赤くなってきたら
歯石とりをした方が良いと思います。
半年に一回とか毎年とか定期的にはやる必要はなく、
歯石の付き具合をみてやるかやらないか
決めるのが良いと思います。
あまりに頻繁に麻酔をかけることは
麻酔中に腎臓に血が行きにくくなることによる
目に見えない数字に出ない
腎臓へのダメージが無視できないからです。
今回は12歳のベンジャミンちゃん。
高齢ですが初めての歯石除去だそうです。
この歳でも術前検査で
血液 凝固 レントゲン 心腹エコーに問題がなかったので
安定した麻酔をかけることができました。
↑綺麗になりました!
ちなみによく聞かれる質問として
「無麻酔の歯石とりはどうなのか?」
というのがあります。
ズバリいえば麻酔しての歯石取りのみ
推奨します。
歯石とりは歯周病治療というのがメインですので
歯の根元、ポケットを綺麗にすることが基本です。
超音波スケーラーで歯石を取ったのち
キュレットで根元を綺麗にして
ブラシで表面研磨後
さらに細かい粒子で研磨
ここまでやって歯石取りです。
これをストレスなく
無麻酔で完遂できるワンちゃんは
まずいないでしょう。
実際無麻酔歯石とりで死亡事故も報告されていますし
無麻酔だからと決して安全なものではありません。
それならしっかり検査して麻酔をかけ
隅々まで綺麗にした方が
寝てる間に終わるわけですから
ワンちゃん本人の負担も少ないと思います。
なお、美観だけならば
無麻酔歯石とりもありだとは思います。
↑抱っこ大好きなんですね、
良かった良かった。